結論:正しく法律を理解すれば、理学療法士の独立は可能です
「リハビリ職に開業権はない」とよく言われます。しかし、越えてはいけない一線を2つ守れば、理学療法士が自費リハビリや整体院として独立することは可能です。その一線とは、次の2つです。
- 医師の指示なしに「医業(治療)」としてリハビリを行うこと
- 「治る」「改善します」など、医療行為と誤認させる広告・説明をすること
逆に言えば、この2つに該当しなければ道は開けます。以下で、その法的な根拠を順に見ていきます。
なぜ「開業権がない」と言われるのか
理学療法士及び作業療法士法 第2条3項は、理学療法士をこう定義しています。
この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。
つまり「理学療法士として理学療法を行う」には、医師の指示が前提です。だから、医師の指示なしに単独で医療行為としてのリハビリを行うことはできません。これが「開業権がない」と言われる理由です。
それでも独立できる理由
最近は、ピラティスやコンディショニング、パーソナルトレーニング、自費リハビリなどの看板を出して活動する理学療法士も増えています。これは違反なのでしょうか。
この点について最高裁(昭和35年1月27日 大法廷判決)は、医業類似行為を法律で禁止・処罰できるのは「人の健康に害を及ぼすおそれがある行為に限られる」と判断しました。
裏を返せば、人の健康に害を与えない範囲であれば、「健康増進」や「コンディショニング」としてのサービスは可能、という解釈になります。
最新の注意点 ― 2025年 山形地裁の判決
2025年(令和7年)3月25日、山形地方裁判所は、理学療法士が運営する整体院をめぐる訴訟で判決を示しました。これは「整体院の運営そのもの」を違法としたものではありません。不正競争防止法上の「品質誤認表示」(実際より優れていると誤認させる表示)が争われた民事の裁判です。ポイントは、あくまで「表示・広告」にありました。
- WEBサイトで、疾患や症状を「解消・改善・緩和」できるかのように記載したこと(品質誤認表示)
- その表示があるWEBサイトへ、SNSから誘導したこと
逆に言えば、問題になったのは「治せる」と誤認させる表示と、そこへの誘導です。施術そのものではなく、どう見せるか・どう伝えるかが分かれ目でした。なお、この裁判はその後、上級審を経て2026年2月に確定しています。地裁の判断だけを最終結論とみなすのは早計です。
あなたのプランは、どちら側ですか?
線引きは分かった。でも「自分のサービスは大丈夫な側なのか」と不安になった方も多いはずです。
当事務所では、理学療法士・行政書士の両方の視点から作成した「自費リハ・保険外サービス専用 契約書ひな型」をご用意しています。独立したい理学療法士を、法律の面からサポートします。
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